Prologue―サイトの趣旨・構成

※このサイトを開設した当時(2000年)の文章です。現在のサイト構成に合わない記述もありますが、「書庫」なので、そのまま載せています。
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 アートイタリア--これが、このサイトの核をな すキーコンセプトです。これら三つは、生きることへの真摯な意志と欲求を呼び覚ましてくれる、とてつもないポテンシャルを秘めているのではないかという、 主宰者ALBAの体験に根差した実感にもとづくものです。サイトが誕生してから約5ヶ月、カウンターが日々、劇的な伸びを記録しているわけではありませ ん。しかし、短期間の間に、信じられないような素晴らしい出会いがいくつもあったことも事実です。私個人としては、ささやかながらも発信の場を持つこと で、インターネットという一つの仮想空間を介しての相互交流により積極的になり、こちらから働きかけることが多くなりました。その結果、文字のみという非 常に限られたメディアを通じてでも、互いのパーソナリティの一端に触れ合い、驚くほどの短期間のあいだにface to faceへと発展したものもあります。実際、インターネットを通じて知り合ったイタリアの友人たちに、この夏さまざまなhospitalityを受け、そ れがさらに、その後のより親密な交流を促す結果となりました。そうしたダイナミックな動きは、今もなお時々刻々進行中です。

 ここで思い起こすのが、「縁」という言葉です。インターネットという現代的・未来的なメディアと、「縁」と いう東洋古来の概念が、私の中ではかたく結びついています。今や星の数ほどあるサイトの中から、たまたまここに流れ着いてくださったということ、これすな わち、何かの縁でしょうし、さらにここを気に入ってくださり、メールをくださったり、掲示板に日参してくださるようになったということは、さらに縁がある のですし、そこからさらに、virtualでははないRealityの世界での関係にまで至れば、それはまごうかたなき縁の賜でしょう。そうした縁に導か れて、この夏の、イタリアやその他での出会いもあったのです。

 実のところ、私自身が、現在、キーコンセプトとして掲げたものとのかかわりを、より深い形で自分の人生に反 映する道を模索している只中にあります。自分自身のあまりに遅々とした歩みに、自分でも業を煮やしながら、それでも自分の中の「消えない火」に付き合って いくのは、思っていたほど楽しいことでも、胸躍ることでもないというのが、目下の正直な実感です。この歩みが、真に深い喜びに変わるには、まだまだ泥臭く 地道な日々の積み重ねが必要だということかもしれません。そんな未整理な状態で運営するこのサイトは、ですから、ある意味で、一個人の自己実現のプロセス の一端を映すにすぎない、実にselfishなサイトともいえます。しかし、皆様との交流をとおして、それがさらに深められ、練り上げられ、ある普遍へと 結晶する可能性もあるのではないか・・・そんな一縷の望みを託して、このサイトを作りはじめました。ここが、刺激的で充実したOpinion発信の場へと 発展していくことを願ってやみません。

 このような趣旨に基づくゆえ、構成は、スッキリと整理されたものであるよりは、どちらかと言えば、四方八方 に広がりがちな様相を呈しています。大幅リニューアルも考えていますが、いまだ新たな構想はまとまらず、当面は、やや拡散気味ながら、今までの「堆積物」 をベースに展開していくことになるでしょう。現在のところ、イタリアに関しての記述が他を圧倒していますが、基本的に旅行ガイドを目指すものではなく、名所案内的な内容にはなっていませんので、あらかじめご了承ください。美術に関しても、基本的には同様です。旅については、体験を踏まえた実際的な工夫や注意事項も紹介していきたいと考えています。

 また、この「場」(site)を、一つの出会いと相互交流の場にしたいと思っていますので、できるだけ双方 向的な要素を取り入れていくつもりです。現在、掲示板を設置していますが、将来的には、皆様からの投稿などもいただけるようなものにできないだろうかと考 えています。そして、もう一つ、いろいろな言語の飛び交うサイトになってほしいというのが、大きな願いです。先日、ようやく英語版を作り始めました。まさ にPiano Pianoのペースですが、さらなる目標であるイタリア語版と併せて、日本という一つの枠を乗り越える何かを提示できれば、という思いもあります。私の人 生と同様、すべてがまだ、あまりにも構想段階にとどまっています。綿密な設計図さえ出来ていないといえるかもしれません。気宇壮大の感もなきにしもあらず です。けれども、このささやかなスペースで、あえてそれを明言するところから、すべては始まるようにも思います。個人的に、近い将来(であってほしい)イ タリアに生活の基盤を築きたいと考えています。同様の思いをお持ちの方、また現に実践しておられる方、さまざまいらっしゃるでしょう。そうした、さまざま な生き方が出会い、交錯しつつ、各々が自分自身の生き方を見つけだし、それへと近づいていく--このサイトが、そのための契機たりうるものであれば本望で す。皆様からの真摯な反響をお待ちしています。

Allora, divertitevi!(では、お楽しみあれ)
(2000/9/3)